2013年3月23日

ゴオー『地質学の歴史』 第7章~第10章

地質学の歴史地質学の歴史
ガブリエル ゴオー Gabriel Gohau

みすず書房 1997-06
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ガブリエル・ゴオー『地質学の歴史』菅谷暁訳、みすず書房、1997年、126-181ページ。

7 歴史家ビュフォン
18世紀のビュフォンは地球の冷却に基づく理論を構築しました。ビュフォンは『地球の理論』においては水成論の立場をとっていましたが、『自然の諸時期』では火成論者となり、各「時期」を固有の現象で特徴づける理論を展開しました。すなわち、第一期には太陽への彗星の衝突で惑星が生まれ、第二期には地球の固まった物質がガラス質の塊となり、第三期には水が大陸を覆い、第四期には水が引き火山が活動し、第五期には動物の移動があり、第六期には大陸が分離した、といった具合です。ビュフォンは『創世記』の物語に見せかけ上では従っていましたが、実際には尊重しておらず、世界にはるかに長い年齢を与えていました。しかし、ビュフォンは法則を先行させたために化石や地層といった古記録の観察を軽視し、歴史的な研究からは遠ざかってしまいました。

8 産業に仕えて
18世紀には石炭の消費が急速に増大し、地層の知識が必要とされ、鉱山学校が創設されました。ドイツのアーブラハム・ゴトロープ・ヴェルナーは鉱物の分類の業績で著名となり、その学問をゲオグノジーと名付けました。ヴェルナーは水成説の代表的論者であり、花崗岩なども堆積物とみなし、地層の順序は堆積の順序であると考えました。また、世界中の地層が同じように配置しており、どの種類の累層も柱状図の中で一つの位置にしか登場しないはずだと信じていました。水成論者たちは、明確に反現在主義の立場をとっていたといえます。

9 地下の火
スコットランドのジェイムズ・ハットンの著書『地球の理論』は1795年に出版されました。ハットンは火成説の代表的論者であり、花崗岩の起源を火に求めました。ハットンの理論体系は地下の火の作用を重視するもので、地層の隆起や山の形成、堆積物の固化、液状花崗岩の地層への貫入はすべて地下の火によるものだと考えました。彼の説は固化については誤りでしたが、花崗岩については比較的正しい理解をしていたといえます。ただしハットンの理論には、水成説にあったような歴史的関心は欠けていました。

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