2013年3月19日

『植物の変異と進化』序文 Stebbins, Variation and Evolution in Plants, Preface

Variations and Evolution in Plants (Biological)Variations and Evolution in Plants (Biological)
George Stebbins

Columbia Univ Pr 1950-06
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G. Ledyard Stebbins, Jr., Variation and Evolution in Plants (New York: Columbia University Press, 1950), ix-xi

短いですが重要そうなことが書いてあるのでひとまずここだけでまとめ。2つ目の前提は跳躍説との、3つ目の前提は定向進化説との決別ともいえるでしょうか。

ここ20年は生物進化論にとって大きな転機であった。今では進化論者の仕事は、進化の方向や速度を決める要因や過程を明らかにすることとなっている。本書は植物界、特に種子植物についての進化の総合的アプローチの経過報告として書いたものである。また、本書の大部分は1946年のJesup Lectureに基づくものである。

本書では3つの前提がある。1つ目として、進化は、集団内での個体変異、交配集団における変異体の分布や頻度(小進化)、集団の分離や分岐(大進化)という3つのレベルで捉えられなければいけない。それぞれのレベルでの支配的進化過程は、個体変異では突然変異や遺伝子の組み換え、小進化では自然選択、大進化では選択の効果と隔離のメカニズムである。2つ目に、どのレベルにおいても進化は小さな変化の積み重ねによるものであり、大きなジャンプによるものではない。3つ目に、これらの変化の速度や方向は一定ではなく、進化は漸進的なオポチュニズムである。進化は環境の変異と遺伝的な可変性の相互作用の産物として描ける。

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